使用者の労働者に対する賠償請求――給与から引いてはいけません

1 労働者の失敗

  従業員が皿洗い中にお皿を割ってしまった、従業員が交通事故で会社の車を壊してしまった、などなど、従業員が失敗して使用者に損害を与えてしまうことはよくあります。
  そのような場合、使用者は、従業員に対し、損害賠償請求することができる場合があります。その場合、お皿の代金や、車の修理代(あるいは車の価格)等を請求することができるのです。
  ただ、以下のように注意しなければならない点があります。
 

2 全額請求できるか?

  裁判例では、業務中の失敗については、使用者と労働者の公平を考慮して、労働者が不注意で100万円のお皿を割ってしまっても、必ず100万円を請求できるわけではないと判断されています。

  具体的に請求可能な金額は、損害の内容はもちろん、企業規模、業務の性格、不注意の内容、使用者が防止の努力をしていたか、保険加入をしているか、労働者に懲戒処分が下ったかなどを見ながら決めることになります。
  ある裁判例では、使用者が被った損害の5%しか、請求が認められませんでした。
 

3 給料から差し引けるのか?

  賃金から損害額分を減給するというのも、よく聞かれる対処法ですが、実は違法です。
  賃金は一旦労働者に全額支払わなければならないと労働基準法に規定されているからです。したがって、使用者は、労働者に給与を全額支給した後、損害賠償を請求することになります。同じ事のようにも思えますが、手順を踏まないと刑事罰もありえます。
  また、労働者と合意をまとめて、賃金と相殺するということも、良く聞かれますが、少し注意が必要です。
  このような相殺合意を労働者が自由な意思に基づいて行ったことを客観的に示す必要があると最高裁は判断しています。客観的というからには、相殺するたびに、合意書を作成して署名押印させるくらいのことはしないといけないとされています。
 

4 まとめ

  使用者にとっては、中々不利で、難しい取扱いになります。また、賠償額を労働者と合意して、全部賠償するまで退職を認めないなども違法行為になります。労働者に対する賠償責任を追及するには慎重にならざるをえないことに、是非ご注意下さい。
 

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