障害者雇用の水増し発覚――統計の問題

 先月頃から,障害者雇用の水増し問題が世間を騒がせています。

 現在,45.5人以上の従業員がいる会社については,従業員の2.2%以上が障害者でなければならないとされています。他方,国,地方公共団体は2.5%以上です。民間企業は,この義務に従わなければ,お金(障害者雇用納付金)を徴収されますが,国や地方公共団体にはそのような制度はありません。これは障害者雇用促進法に基づく法律上の制度です。

 今回の問題は,国が法的義務を半分も満たしていなかったことが続々と明らかになったというものです。

 そこで,世間では「模範とならなければならない国の怠慢だ。」とか「障害者差別だ。」といった批判が巻き起こっています。民間企業は頑張って障害者の雇用を確保し,確保できない場合は金銭的な負担を負っているのにという思いから出ている場合もあるでしょう。

 このような批判は至極もっともだと私も思いますが,私としては,別の根深い問題に注目したいと思います。それは統計の問題です。

 平成30年度の障害者白書を見ても年齢別の障害者の人数を書いていないのです。精神障害者の調査だけ調査方法が違っていたり,違う年度に分けて何度か調査をしたりしていて,結局,現時点でどれだけの障害者がいるのか正確な数字が出てきません。総務省の国勢調査の内容も見ましたが同様です。

 年齢別の人数さえわかりませんので,当然,労働可能なのか不可能なのかの統計データもありません。

 そうすると,2.2%や2.5%といった数値は一体何が根拠になった数字なのかさっぱりわからないということになります。2.2%なんて数字は,はなから達成不能な数字なのかもしれませんし,逆に低すぎるのかもしれません。障害者雇用納付金は今1人未達につき5万円ですが高いのか安いのかもわかりません。

 思い返せば,働き方改革法案の審議の際にも,労働時間の集計に異常値が続々と見つかったというケースがありました。
 
 統計データの集計が苦手な国だなぁと思わざるをえません。GHQのマッカーサーが吉田茂に「日本の統計がいい加減だ。」と批判して,吉田茂が「まともな統計があれば,戦争なんてしませんでしたよ。」なんて返したという笑い話がありますが,ずさんなデータに基づいて人々を縛る法律が通るとなると笑い話ではありません。障害者雇用の義務化とはこの笑えない話の一つだったのではないでしょうか。
 

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