顧客からのハラスメントーー国際的な動き

 国連の国際労働機関(通称ILO)は労働条件の改善を通じて労働者の保護を図る全世界的な組織です。戦前の国際連盟から存在する由緒正しい国際組織です。そのILOが新たな歴史的な動きを見せようとしています。

 先日,ILO第107回総会が開催されました。このとき「仕事の世界における暴力とハラスメントの終焉に関する」議論が行われました。これは,日本社会で問題になっている職場でのハラスメント,すなわち労働者間あるいは労使間で行われるセクハラやパワハラにとどまらず,顧客等の第三者からのハラスメントも含んだ対策の議論です。

 確かに,職場でのハラスメントは,セクハラやパワハラが叫ばれ始めてから,相当程度減少しました。未だに根絶はされていませんが,良い傾向だといって良いかと思います。

 その裏で放置されていたのが,職場外でのハラスメントです。取引先の接待で「これって職場だったらセクハラだよなぁ。」という経験をしたことはありませんか? 病院では患者さんによる女性看護師に対するセクハラが問題になっているそうです。また,不法不当な無理を通そうとする悪質クレーマーに突き上げられて,精神を病む職場は少なくありません。駅員さんに対する暴力事件が話題になったこともありました。

 「ハラスメント」とは「嫌がらせ」のことであり,そうである以上,誰に対してもしてはいけない行為です。しかし,この当然のことが,法的な議論の対象としてあまり盛り上がることはなく,労使間の問題ばかりが注目されてきました。
本来,こういった数々の行為は,暴行罪や名誉棄損,強制わいせつといった刑法で処罰可能なものも多くあります。そして それ以上に,民事事件で損害賠償の対象になりうる行為だってあります。

 とはいえ,使用者としては,大事な取引先,貴重な顧客に対して強気に出られないことも十分考えられ,自身や従業員に我慢を強いることもあったかと思います。

 他方で,使用者には労働者の安全に配慮する義務があり,この内容に危険な顧客から労働者を守る義務も含まれています。この義務に違反すれば,使用者が損害賠償の対象となります。

 したがって,使用者は苦しい立場に置かれていたといえます。

 ILOは今後,このようなハラスメントに対する規制を条約にしようとしています。詳しい議論は来年に持ち越されますが,ゆくゆくは条約として成立し,日本も国内法として整備することになるでしょう。このような議論が労働者にとっても使用者にとっても良い職場環境を作る助けになることが期待されます。
 

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