労働法コラム③残業時代の公表義務付けへ

 残業時間の抑制に向けて新しい政策が打ち出されました。2020年までに、従業員の残業時間の公表を義務付けると厚労省が発表したのです。具体的には、事業者は、ホームページ等で、各月の平均残業時間を、1年に1回、公表することが義務付けられることになりそうです。
 
 公表によって、他事業者との比較が容易になり、長時間労働の抑制への動機付けになるという効果が生じると考えられています。また、誤った情報を公開すると場合によっては罰則を科すようですから、公表前に労働者の労働時間がよりきちんと管理されることも期待される効果なのだと思います。新聞では、就職活動中の人達への情報提供の役割も果たすと言われていました。

 今のところ、大企業(従業員数が301人以上の企業)を対象に義務付け、中小企業は努力義務ということになるようです。しかし、努力義務を課すということは、そのまま全面義務付けへと向かうことが容易に想定されますから、中小企業も注目するべき政策ということができるでしょう。

 そもそも、事業主は労働基準法108条及び109条により、賃金計算のために、労働時間等の記録保存が義務付けられていますから、同じ記録を使えば、月毎の平均残業時間を計算すること自体は難しい物ではありません。そして、労働時間を出退勤簿や紙に刻印するタイムカードではなく、パソコン上で管理することができれば、計算に要する時間や人員も大幅に削減することができると思います。

 反面で、事業主にとっては、残業時間を公表することに心理的な抵抗があるとは思います。残業が多いということが、「仕事を頑張っている」、「仕事が多い」、「やり手だ」というプラスの評価につながる可能性がある一方で、「効率が悪い」、「人手が足りてない」、「就職先にしたくない」などのマイナスの評価につながる可能性も十分にあるからです。

 とはいえ、生産量を落とさずに残業を減らす、すなわち生産効率を上げていくことは、使用者にとっても労働者にとってもメリットです。政府は残業時間自体の総量規制(上限年720時間)を打ち出すなど、残業に対する強い態度を示そうとしている中、2020年あるいはその先を見据えて、残業との付き合い方を考えていかれてはいかがでしょうか。
 

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