労働法コラム②セクハラの被害者は女性だけではありません

 セクハラが世に広まってから20年以上が経ちました。最近では職場のセクハラ問題が労働局や裁判所で紛争になるリスクになることは、多くの企業が認識しています。実際、「職場で男性が女性に対して性的な嫌がらせをしてはならない」とされていることは一般常識です。しかし、実はそのイメージでは不十分です

 セクハラは女性に対する嫌がらせとは限りません。女性が男性の身体に触ったり、男性が男性に対して下ネタを言うように強要したりすることも、セクハラになりえるのです
 
 そして、今年の元日からは、LGBTに対する性的な嫌がらせもセクハラになることが、厚労省によって確認されました。男女雇用機会均等法11条1項及び同条2項に基づき厚労相が定める指針に明記されたのです。

 LGBTというのは、レズビアン(女性同性愛者)、ゲイ(男性同性愛者)、バイセクシュアル(両性愛者)、トランスジェンダー(社会的な性別と自分自身の意識とが噛み合わない者)の頭文字を取ったものです。この言葉はまだ日本人の半数近くが知りません。

 LGBTは性的少数者と呼ばれることもあります。しかし、少数とはいえ、調査によれば、13人に1人がLGBTという結果もありますし、LGBTかそうでないかは程度の問題で、誰しもLGBTの要素を多かれ少なかれ持っているとの研究もあります。そのため、自分の職場にもLGBTがいることは想定しなければなりません

 その上で、職場で、「おかま」「ホモは気持ち悪い」などという言葉を発すると、セクハラになるおそれがあります。LGBTであることをからかったり、職場で不利益な取扱いをしたりすることもセクハラになりえます。逆にLGBTの上司がそうでない部下に性的な言動をすることも当然セクハラになりえます。

 テレビでも「オネェ」キャラの芸人たちがよくいじられているように、日本では性的少数者を笑いの種にしてもよいという風潮があります。多少の性的な話題は仕事の潤滑油と考えている方もたまにいらっしゃいます。そのことを敢えて否定はしませんが、今後、社会は徐々に変わっていくでしょうし、男性やLGBTを被害者とするセクハラ対策も併せて講じていかなければ、思わぬ法的リスクに巻き込まれる可能性があることに注意すべきでしょう
 
 
(執筆 弁護士田中良太)

 

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