熱中症対策義務化とは?なぜ今、法的義務に?
最終更新日2025.10.1(公開日:2025.10.1)
監修者:弁護士法人 大分みんなの法律事務所 代表 倉橋芳英弁護士
音声でも解説をご用意しています。
連日猛暑が続く日本の夏。職場での熱中症リスクは、もはや他人事ではありません。実は、2025年6月1日から、職場における熱中症対策が「罰則付きの法的義務」としてすべての事業者に課されることになりました。これまでの「努力義務」とは異なり、適切な対策を怠れば、厳しい罰則が科される可能性があるのです。
なぜ今、義務化されたのでしょうか?その背景には、年々深刻化する職場の熱中症災害があります。多くの死亡・重症化事例が、初期対応の遅れや報告体制の不備に起因していることが明らかになっているのです。
この記事では、「熱中症対策義務化への対応」に不安を感じている事業者の皆様に向けて、義務化の背景から具体的な対策、罰則、そして活用できる補助金、さらには熱中症対策マニュアル作成のポイントまで、分かりやすく解説します。このコラムを読み終える頃には、貴社に必要な対策が明確になり、従業員の安全を守るための第一歩を踏み出せるはずです。

義務化の背景にある深刻な熱中症被害の実態
近年、地球温暖化の影響もあり、日本の夏は記録的な猛暑が常態化しています。これに伴い、職場での熱中症による健康被害も深刻化の一途をたどっています。厚生労働省の資料によると、2024年の職場における熱中症による死傷者数は1,257人と過去最多を記録し、死亡者数は31人と、3年連続で30人以上の方が命を落としています。これは労働災害による死亡者数全体の約4%を占める状況です。
特に注目すべきは、これらの死亡災害の多くが「初期症状の放置」や「対応の遅れ」に起因しているという事実です。例えば、都内の医療機関で、真夏の午後、清掃作業中に気分が悪いと訴えたパート職員が、一時的な不調と判断され、初動対応が遅れた結果、意識を失い、回復に長い時間を要した事例が報告されています。こうした悲劇を二度と繰り返さないために、「これまでは“気をつけて”では済まされていた熱中症対策が、事業者の明確な責任事項として、制度の中に位置づけられた」のです。
「努力義務」から「罰則付きの義務」へ
これまでの労働安全衛生法では、高温作業に対する「健康障害防止のための措置」は定められていたものの、熱中症対策は明確な法的義務ではなく、「努力義務」にとどまっていました。しかし、2025年6月1日からは労働安全衛生規則が改正・施行され、職場における熱中症対策が全ての事業者に対し、罰則付きの義務として位置付けられることになりました。
この改正により、事業者には以下の3点が法的義務として課されます。
- ・早期発見のための体制整備
- ・重篤化防止のための措置の実施手順の作成
- ・関係作業者への周知
この義務化の目的は、単に罰則を設けることではありません。企業が能動的に熱中症のリスクを評価し、具体的な予防策を講じることで、労働者が安心して働ける環境を整備し、熱中症による健康被害や死亡事故をゼロにすることを目指しています。
義務化の対象となる作業と基準を理解する
WBGT値とは?暑さ指数とその活用方法
今回の義務化において、熱中症リスクの判断基準として重要になるのが「WBGT(湿球黒球温度)値」、別名「暑さ指数」です。WBGT値は、単に気温だけでなく、湿度、日射・輻射熱(地面や建物からの熱)、風速といった、人体が感じる暑さに影響する複数の要素を総合的に評価する国際的な指標です。
WBGT値は、専用の測定器(WBGT指数計)を使って作業現場で実測することが推奨されています。これは日本産業規格(JIS)に適合したものであるべきとされています。また、環境省が運営する「熱中症予防情報サイト」などでも、WBGTの予測値や実況値を確認できます。ただし、これらのサイトに掲載される値はあくまで地域一般的なものであり、個々の作業場所や作業内容の状況を完全に反映しているわけではない点に注意が必要です。
具体的な対象作業の条件
義務化の対象となる「熱中症を生ずるおそれのある作業」には、明確な条件が定められています。
作業環境が「暑熱な場所」であること
具体的には、WBGTが28度以上、または気温が31度以上の環境。
作業時間
上記の環境下で、継続して1時間以上、または1日当たり4時間を超えて行われることが見込まれる作業。
これらの条件を満たす作業は、建設業、物流業、製造業、農業だけでなく、医療・福祉施設内の厨房、浴室、倉庫、訪問系サービスなども含まれます。また、一時的な作業や臨時の作業であっても、上記の条件を満たす場合は対象となります。
なお、これらの条件に該当しない場合でも、作業強度(例えば、重い荷物を運ぶ作業)や服装(熱がこもりやすい作業着など)によっては熱中症のリスクが高まります。厚生労働省は、こうした作業についても、義務化される対策に準じた対応を行うよう努めることを推奨しています。
企業に求められる熱中症対策の「2つの柱」
今回の義務化で事業者に課される具体的な対応は、主に「早期発見」と「重篤化防止」という2つの柱に分けられます。
早期発見のための報告体制の整備と周知
従業員が熱中症の初期症状を訴えた際、または熱中症の疑いがある作業者を発見した際に、迅速に社内で共有・報告できる体制を事前に定めておくことが求められます。この体制には、誰に報告すればよいのかという「連絡先や担当者」を事業場ごとに明確にし、関係作業者全員に周知することが含まれます。
報告方法の例としては、専用の連絡アプリの導入、当番制度の確立、または電話やメールでの連絡などが考えられます。また、単に報告を受けるだけでなく、熱中症の症状がある作業者を積極的に把握するための取り組みも推奨されています。具体的には、以下の措置が挙げられます。
職場巡視の実施
管理者が作業中に頻繁に巡回し、作業員の健康状態を確認し、声かけを行うこと。
バディ制の採用
複数の労働者が同時に作業を行う際に、互いの健康状態に留意し、体調を伝え合う仕組み。
ウェアラブルデバイスでの状態確認
体温計や体重計などを休憩場所に備え付け、必要に応じて身体状況を確認できるようにすること。最近では、ウェアラブル端末で体調を「見える化」し、熱中症リスクを検知するシステムも登場しています。ただし、ウェアラブルデバイスは他の方法と組み合わせて精度を高めることが望ましいとされています。
重篤化防止のための措置・実施手順の作成と周知
熱中症が疑われる症状が出た場合に、その症状の悪化を防ぐための「措置内容」と「実施手順」を事業場ごとにあらかじめ定め、関係作業者に対して周知することも義務となります。これにより、万一の事態が発生した際の混乱を防ぎ、迅速な対応が可能になります。
具体的な措置内容の例は以下の通りです。
作業からの離脱
体調不良の兆候が見られたら、直ちに作業を中止させること。
身体の冷却
涼しい場所へ移動させ、衣服を緩め、水や冷たいタオル、保冷剤などで体を冷やすこと。アイススラリー(流動性の氷状飲料)を摂取させるなど、体内から冷却する措置も有効です。
必要に応じた医師の診察または処置
意識がない、返事がおかしいなど、普段と様子が異なる場合は、ためらわずに救急車(119番)を要請すること。判断に迷う場合は、救急安心センター(#7119)などを活用し、専門機関に相談することも推奨されています。
緊急連絡網、緊急搬送先の連絡先及び所在地等
これらを事前に作成し、手順書に含めることで、緊急時にもスムーズに対応できます。
厚生労働省は、こうした措置に関するフロー図を例示しており、これらを参考に、貴社の実情に合わせたマニュアルやフロー図を作成し、休憩所など作業員の目に触れる場所に掲示すること等で周知徹底を図りましょう。また、症状が回復した後も、体調が急変するケースがあるため、回復後の連絡体制や対応もあらかじめ定めておくことが重要です。
義務化対応へのロードマップ:今すぐ始めるべきこと
義務化への対応は、一朝一夕にできるものではありません。計画的に準備を進めることが成功の鍵となります。
現状把握とリスクアセスメントの実施
まずは、貴社の事業場における熱中症のリスクを詳細に洗い出すことから始めましょう。
作業環境の把握
屋内・屋外の作業場所の温度・湿度、空調設備の有無、換気状況、日当たりなどを具体的に把握します。
過去事例の振り返り
過去に熱中症を発症した事例がないか、もしあればその原因は何だったのかを特定します。
WBGT計の導入
正確なリスク評価のためには、WBGT計を導入し、定期的な測定を開始することが不可欠です。特に建設現場では、天候や作業状況の変化が大きいため、こまめな測定が必要です。
専門家への相談
自社での判断が難しい場合は、労働安全衛生や労務管理の専門家、産業医などに相談することも有効です。
対策の具体化と社内体制の整備
リスクが特定できたら、それに対する具体的な対策を決定し、予算を確保します。
設備投資の検討
空調設備や換気扇の設置、簡易な屋根や遮熱板の設置、ミストファン、冷房付き休憩所の整備など。
予防対策グッズの準備
ファン付き作業服、冷却ベスト、通気性の良い帽子、塩分補給品、経口補水液、冷却材など。
責任者の選任と役割の明確化
熱中症対策の責任者を指名し、その役割と権限を明確にすることで、責任体制を確立します。管理職やリーダーが、日々の声かけやシフト調整、巡回で「異変に気づく力」を高めることが、現場の安心感につながります。
連絡体制・手順書の作成
前述の通り、熱中症発生時の報告体制や悪化防止措置の手順を具体的に定め、文書化します。
従業員への教育と周知の重要性
どんなに素晴らしいマニュアルを作成しても、現場で実行されなければ意味がありません。従業員一人ひとりが熱中症に対する正しい知識を持ち、自ら予防行動をとれるように、継続的な教育と周知が不可欠です。
教育内容
熱中症の症状とその見分け方、予防方法(水分・塩分補給のタイミングと方法、暑熱順化の重要性、適切な服装など)、緊急時の応急処置、作業者同士の声かけと見守りなどが含まれます。
教育方法
集合研修のほか、eラーニングや動画教材の活用も有効です。厚生労働省や中央労働災害防止協会(中災防)では、無料の教材や資料をオンラインで提供しています。
継続的な実施
教育は一過性のものではなく、定期的に繰り返し実施し、理解度テストを行うなどして、知識が定着し行動変容につながるよう努めましょう。特に新入社員や長期休暇明けの社員は暑熱順化が不十分な場合があるため、注意が必要です。
対策を怠るとどうなる?罰則と安全配慮義務違反のリスク
今回の義務化により、熱中症対策は企業の「努力目標」ではなくなりました。対策を怠った場合、貴社は法的な責任を問われることになります。
罰則の内容と適用ケース
改正労働安全衛生規則で定められた熱中症対策を事業者が怠った場合、罰則が科される可能性があります。具体的な罰則としては、都道府県労働局長や労働基準監督署長による是正勧告や指導、さらに改善命令が出されることがあります。この改善命令に従わない場合、6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があるとされています。
また、建設現場のように複数の事業者が混在して作業を行う場所では、元方事業者(工事の注文主)だけでなく、関係請負人(下請け会社)の事業者いずれにも措置義務が課されます。つまり、この場合、熱中症対策を怠れば、全ての事業者に罰則が科される可能性があります。
安全配慮義務とは?裁判事例から学ぶ教訓
今回の義務化以前から、企業は労働契約法第5条や民法第415条に基づき、「労働者の生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をする義務」、すなわち「安全配慮義務」を負っています。熱中症対策も、この安全配慮義務の範疇に含まれます。
労働基準監督署の通達やマニュアルに沿った対策を怠った結果、労働者が熱中症を発症した場合には、安全配慮義務違反として事業者の責任が問われ、労働災害認定とは別に、民事上の損害賠償責任が発生する可能性があります。過去の判例では、「通達に沿った対策を講じていなかった」ことが違法性の根拠とされ、企業側が多額の損害賠償を支払ったケースも報告されています。
過去の裁判事例:サウジアラビア出張中の熱中症死亡事故
際に、企業の熱中症対策の不備が安全配慮義務違反と認定された裁判事例があります。
この事案は、福岡地方裁判所小倉支部が令和6年2月13日に判決を下した事案(平成31年(ワ)36号)です。被告会社に勤務する従業員Aさんが、2013年8月にサウジアラビアへ業務出張中、浚渫船のバケット補修工事に従事しました。作業現場はWBGT値が基準値を大きく超える危険な暑熱環境であったと認定されました。
Aさんは8月18日頃から食欲不振を訴え始め、19日には昼食を摂らずに熱中症リスクの高い午後の作業に従事していました。その後、嘔吐や脱水症状、意識障害、けいれんなどの症状が増悪し、同月29日に死亡しました。
裁判所は、Aさんの死亡が熱中症に起因すると認定。そして、被告会社が、熱中症発生リスクの高い環境下で、WBGT値の測定をしていなかったこと、また、Aさんが体調不良の兆候を見せていたにも関わらず、作業開始前や作業中、休憩時などにAさんの食事摂取状況や体調を十分に確認せず、作業を中止させるなどの適切な措置を怠ったことについて、安全配慮義務違反があったと判断しました。
結果として、裁判所は被告会社に対し、Aさんの遺族である原告4名に対し、合計で約4868万円(原告X1に3805万7299円、原告X2に624万1270円、原告X3に126万4415円、原告X4に312万0635円)の損害賠償金の支払いを命じました。この判決は控訴審でも維持されています(福岡高等裁判所、令和7年2月18日判決)。
この事例は、「気づかなかった」「慣れていたから」では通用せず、予見可能であるにもかかわらず適切な対策を怠った場合、企業が重大な法的責任を問われることを示しています。労災認定されたとしても、安全配慮義務違反が認められれば、企業は別途民事上の損害賠償を請求されるリスクがあるのです。
義務化対応に活用できる補助金・助成金
熱中症対策の義務化に伴い、対策のための設備導入や体制整備には費用がかかります。しかし、国や自治体では、こうした企業の取り組みを支援するための補助金・助成金制度を提供しています。これらを積極的に活用することで、費用負担を軽減し、より安全な職場環境を整備することが可能です。
各種補助金・助成金の種類と概要
現時点で、熱中症対策に活用可能な主な補助金・助成金は以下の通りです。
エイジフレンドリー補助金(厚生労働省)
- ・対象:60歳以上の労働者を常時1名以上雇用する中小企業。
- ・対象経費:空調服や送風機の導入、WBGT測定器の設置、冷房付き休憩所の整備、熱中症予防に関する教育費用など。
- ・補助率:1/2。
- ・上限額:100万円(消費税除く)。
- ・申請期間:2025年5月15日〜10月31日(予算に達し次第終了)。
業務改善助成金(厚生労働省)
- ・対象:中小企業・小規模事業者。
- ・対象経費:エアコン付き休憩所の設置など、業務改善につながる設備投資。
- ・補助率:最大9/10。
- ・上限額:最大600万円。
働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)
- ・対象:中小企業。
- ・対象経費:空調・換気設備の導入、冷房付き休憩所の整備、作業効率化設備の導入など。
- ・補助率:最大4/5。
- ・上限額:最大200万円。
省エネルギー投資促進支援事業(経済産業省)
- ・対象:全業種(事業規模による)。
- ・対象経費:高効率空調・換気設備の導入、断熱改修などの省エネ対策。
- ・補助率:中小企業で最大1/2、大企業で1/3。
補助金活用のポイント
これらの補助金制度を活用する際のポイントは以下の通りです。
早期申請
多くの補助金は予算に限りがあるため、早めの申請をおすすめします。
要件確認
各補助金には対象となる事業者や経費に細かな要件がありますので、申請前に詳細を必ず確認しましょう。
専門家への相談
申請手続きや必要書類の準備に不安がある場合は、専門家(社会保険労務士など)に相談することを検討してください。
熱中症対策マニュアル作成のポイント
熱中症対策の義務化に対応するためには、具体的な「熱中症対策マニュアル」の作成が不可欠です。マニュアルは、単なるルールブックではなく、現場の従業員が緊急時に迷わず行動できるための「行動指針」となるべきものです。
マニュアルに盛り込むべき内容
厚生労働省の資料やマニュアルを参考に、以下の要素を盛り込みましょう。
熱中症の基礎知識
熱中症の原因、症状(軽度から重度まで)、重症度分類(Ⅰ度、Ⅱ度、Ⅲ度)とその見分け方。初期症状には、ふらつき、生あくび、大量の発汗、けいれん、手足がつる、立ちくらみ・めまい、吐き気、何となく体調が悪い、すぐに疲れるなどがあります。
予防方法
- ・水分・塩分補給の具体的な指示:汗で失われた水分と塩分を補給するため、のどの渇きを感じる前に、スポーツドリンクや経口補水液などを20~30分ごとにコップ1~2杯程度摂取すること。
- ・暑熱順化の重要性:体を暑さに慣れさせること(暑熱順化)は熱中症予防の基本であり、本格的な暑さの前に運動や入浴などで汗をかく習慣をつけることが推奨されます。長期休暇後には順化の効果が失われるため注意が必要です。
- ・休憩の取り方:暑さや作業内容に応じてこまめに休憩を取り、休憩時間を有効活用して体を冷やすこと。WBGT基準値に応じた休憩時間の目安も示すと良いでしょう。
- ・適切な服装:熱を吸収しにくい、通気性・透湿性の高い作業服や帽子、体を冷却する機能を持つ服の着用を推奨。
緊急時の応急処置
- ・「命を救う行動」と「あやまった行動」:作業員が倒れた場合の対応フロー(意識確認、涼しい場所への移動、衣服を緩めての身体冷却、水分・塩分補給、意識がない場合の119番通報)を明確に記載。特に、意識がない場合はためらわずに119番通報し、救急車が到着するまでに水をかけるなどして全身を急速冷却することが重要です。
- ・緊急連絡網と緊急搬送先:社内の緊急連絡網、緊急搬送先の医療機関の連絡先や所在地を一覧で明記し、誰でもすぐにアクセスできるようにします。
健康管理
健康診断結果に基づく就業上の配慮、日常の健康管理(睡眠不足、体調不良、前日の飲酒、朝食の未摂取などがリスクを高めることへの注意喚起)。持病がある作業者への配慮も明記しましょう.
報告体制と責任者
誰が熱中症予防管理者であるか、誰に、どのような手段で報告するかを明確にします。
実践的な運用と定着の秘訣
マニュアルは作成して終わりではありません。重要なのは、それが「現場で日々、実行されているかどうか」です。
定期的な教育と訓練
資料を読んだだけでは、いざという時に的確に行動できないことがあります。ロールプレイング形式の訓練を実施するなど、実践的な教育を通じて、内容を従業員に定着させましょう。
継続的な見直しと更新
マニュアルは一度作ったら終わりではなく、最新の法改正や現場の状況に応じて、常に内容を見直し、アップデートしていくことが大切です。
管理職・リーダーの意識向上
管理職やリーダーが熱中症予防の重要性を深く理解し、率先して対策を指揮する体制が望ましいとされています。日々の声かけや巡視、シフト調整などを通じて、体調不良を早く申告できる風土を醸成することが、命を守る最大の武器になります。
当法律事務所のサポート
2025年6月1日からの熱中症対策義務化は、全ての事業者にとって避けては通れない課題です。法改正への対応、適切なマニュアルの作成、そしてそれを現場で確実に運用していくことは、専門的な知識と継続的な取り組みを要します。
「何から始めたらいいか分からない」「自社の対策が義務化に対応できているか不安」といったお悩みをお持ちの企業様は、ぜひご相談ください。私たち法律事務所は、労働安全衛生法改正に関する専門知識と、各企業の状況に応じた実践的なアドバイスを提供します。
- ・現状の熱中症対策状況の診断とリスクアセスメントの支援
- ・熱中症対策マニュアルの作成・見直し支援(報告体制、緊急時対応手順の具体化)
- ・従業員への周知・教育方法に関するコンサルティング
- ・安全配慮義務違反のリスク評価と対応策の提案
- ・利用可能な補助金・助成金制度に関する情報提供と申請支援
熱中症対策は、もはや自己責任ではありません。経営者・管理職が対策を怠れば、それは命のリスクを放置したことに等しいです。しかし、しっかりと対応することで、職員・患者・利用者の命を守り、信頼を高め、離職や損害を未然に防ぐことができます。私たちは、貴社が法規制を遵守し、従業員が安心して働ける環境を築くための強力なパートナーとなります。
まとめ
2025年6月1日から施行された熱中症対策義務化は、企業にとって重要な法改正です。年々増加する職場での熱中症による死傷災害の背景には、初期症状の放置や対応の遅れが大きく影響しており、「義務だから仕方なく」という考え方はもはや通用しません。
企業は、WBGT値の適切な把握・評価、熱中症予防管理者の選任、報告体制や緊急時対応手順の整備、そしてそれらの従業員への周知徹底といった具体的な対策を講じる必要があります。これらは単なるコストではなく、「安心して働ける施設である」という企業価値を内外に伝える「信頼への投資」であると捉えるべきです。
この機会に、貴社の熱中症対策を徹底的に見直し、従業員の命と健康を守り、企業の持続的な発展に繋がる安全で快適な職場環境を実現しましょう。対策に不安がある場合や、何から手を付ければ良いか分からない場合は、ぜひ専門家である当法律事務所にご相談ください。貴社に最適な熱中症対策を共に考えて参ります。
安全で快適な職場環境を実現するために、今すぐ具体的な対応を始めましょう。もしご不明な点や不安な点がございましたら、労務管理の専門家である当事務所までお気軽にご相談ください。貴社の状況に合わせた最適なサポートをご提供し、ともに安全な職場づくりを進めてまいります。