認知症が進行した時期に作成された自筆遺言書。介護記録・認知症診断書・施設スタッフの証言を収集し、遺言能力の欠如を立証。遺言無効確認訴訟で勝訴し、法定相続分での分割が実現。
結果訴訟勝訴/無効確認
遺言書は、被相続人(亡くなった方)の最後の意思表示です。しかし、遺言書が見つかった後にも様々な問題が起こります。
「遺言書の書き方に不備があるのではないか」「認知症が進んでいた時期に書かれた遺言書は有効なのか」「本当に本人が書いたのか疑わしい」——こうした問題には、法律上の対処方法があります。また、「遺言書の内容は尊重したいが、手続きの進め方が分からない」「遺言執行者に指名されたが何から始めればよいか」という方も多くいらっしゃいます。
大分みんなの法律事務所では、遺言書に関するあらゆる問題を、弁護士が一貫してサポートします。
「検認」とは、家庭裁判所が遺言書の状態・内容を確認・記録する手続きです。遺言書の偽造・変造を防ぐための公的な確認手続きであり、遺言書の「有効・無効」を判断するものではありません。
※ 法務局の「自筆証書遺言書保管制度」を利用した遺言書は検認不要
開封せずそのまま保管。封がない場合も同様に裁判所へ申立てます。
即日被相続人の最後の住所地の家庭裁判所へ「検認申立書」を提出。申立人は遺言書を保管している相続人など。
1〜2週間家庭裁判所から相続人全員に検認期日(日程)が通知されます。
2〜4週間裁判所で遺言書を開封し、状態・内容を記録。出席は申立人のみでも可。
当日検認後、「検認済証明書」を取得。不動産登記・金融機関手続きに必要。
1週間程度遺言書が発見されても、一定の要件を満たさない場合は法律上「無効」となります。無効な遺言書は効力を持たないため、遺産分割は法定相続分または別途の協議で行うことになります。
| 無効の理由 | 具体的な内容 |
|---|---|
| ① 形式的な不備(方式違反) | 自筆証書遺言では「全文・日付・氏名を自書し、押印」が必須です。一部がパソコン入力・代筆になっている、日付が「吉日」など特定できない、押印がないなどは無効になります。 |
| ② 遺言能力の欠如(意思能力の不存在) | 遺言作成時に認知症・精神疾患などで「遺言の意味を理解できる能力(遺言能力)」がなかった場合は無効です。介護記録・医療記録・認知症の診断書が証拠になります。 |
| ③ 詐欺・強迫による遺言 | 特定の相続人や第三者が脅迫・騙しによって遺言内容を操作した場合は取り消せます。ただし立証が難しく、具体的な証拠が必要です。 |
| ④ 内容の特定不能 | 「財産を適当に分けること」など、遺言内容が特定できない場合は対象部分が無効になることがあります。 |
| ⑤ 公正証書遺言の作成手続き違反 | 証人が欠格者(推定相続人・未成年者など)だった場合、公証人の関与が不十分だった場合なども無効の原因となります。 |
| 手続きの種類 | 内容・使い分け |
|---|---|
| 遺産分割調停で「無効」を主張する | 遺産分割調停の中で遺言書の無効を主張し、法定相続分での分割を求める方法。調停委員・裁判官が判断します。相手方が同意すれば解決できます。 |
| 遺言無効確認訴訟(民事訴訟) | 遺言書の無効を確認する民事訴訟を地方裁判所に提起します。裁判官が証拠に基づいて有効・無効を判断します。立証活動が重要で、弁護士のサポートが不可欠です。 |
| 相続人間の合意(任意解決) | 全相続人が遺言書の問題を認識・合意した場合、遺言書とは異なる内容で遺産分割協議書を作成することも可能です。 |
「遺言執行者」とは、遺言書の内容を実現するために必要な手続きを行う人のことです。遺言書に「遺言執行者を〇〇とする」と指定されている場合や、家庭裁判所が選任する場合があります。
| 職務の内容 | 具体的な作業 |
|---|---|
| 相続財産の調査・目録作成 | 相続財産(預貯金・不動産・有価証券など)を調査し、目録を作成して相続人全員に交付します。 |
| 預貯金の払戻し・名義変更 | 金融機関に遺言書・検認済証明書を提示し、受遺者(財産をもらう人)への払戻し・名義変更を行います。 |
| 不動産の名義変更(相続登記) | 法務局へ所有権移転登記の申請を行います。弁護士は提携司法書士と連携して対応します。 |
| 相続人への通知・報告 | 遺言執行の経過・完了を相続人全員に報告する義務があります。 |
| 遺贈の履行 | 相続人以外への遺贈(遺言による贈与)がある場合、受遺者への引渡しを行います。 |
弁護士は相続人のいずれかの「代理人」ではなく、遺言書の内容を公正に実行する中立的な立場で動けます。相続人間に対立があっても円滑に進められます。
金融機関・法務局・各行政機関への手続きを弁護士の権限で効率よく進められます。
相続人の一人が遺言執行を妨害・拒否した場合でも、法的手段を用いて対応できます。
相続税申告・不動産登記など専門家との連携もスムーズに対応します。
遺言書に関するトラブルは状況によって対応方針が異なります。代表的な4ケースをご紹介します。
父が亡くなり、引き出しから手書きの遺言書が見つかった。封はされていないが開けてよいか分からない。内容は「全財産を長男に」と書かれているが、日付に「〇月吉日」とある。
母が認知症で施設に入所してから1年後の日付の遺言書が見つかった。内容は「全財産を長男に」。次男・長女は「母がそんな意思を持てる状態だったはずがない」と感じている。
父の遺言書には「全財産を長男に相続させる」と書かれていた。次男・長女の取り分はゼロ。遺言書自体の有効性は問題ないが、自分たちの遺留分が守られていないと感じている。
父の公正証書遺言に「長男を遺言執行者とする」と指定されていた。しかし弟が「遺言は無効だ」「財産の調査に協力しない」と主張しており、手続きが全く進まない。
認知症が進行した時期に作成された自筆遺言書。介護記録・認知症診断書・施設スタッフの証言を収集し、遺言能力の欠如を立証。遺言無効確認訴訟で勝訴し、法定相続分での分割が実現。
結果訴訟勝訴/無効確認
「〇月吉日」の日付記載で作成された自筆遺言書。弁護士が形式的不備を確認し、他の相続人全員に説明。任意の合意により法定相続分で遺産分割協議書を作成。
結果合意成立/遺産分割完了
公正証書遺言の執行者に指名された長男から依頼。相続人の一人が執行を妨害。弁護士が遺言執行者の代理人として全手続きを担い、●ヶ月で全財産の名義変更・払戻しを完了。
結果執行完了/●ヶ月で解決
封がされている場合は絶対に開封しないでください。封の有無にかかわらず、自筆証書遺言は家庭裁判所への検認申立てが必要です。検認前に開封すると5万円以下の過料が課される場合があります。まず弁護士に連絡し、手続きの流れを確認することをお勧めします。
公正証書遺言は検認不要です。公証役場で作成・保管されているため、偽造の心配がなく、そのまま各種手続きに使用できます。また、過去に作成された公正証書遺言は公証役場への照会で存在を確認できます。
「納得できない」という感情的な理由だけでは無効にはなりません。法律上の無効原因(形式的不備・遺言能力の欠如・詐欺・強迫など)が必要です。ただし、遺留分を侵害されている場合は「遺留分侵害額請求」という別の方法で取り戻せます。まず弁護士に遺言書を見せてください。
遺言作成時点で「遺言能力(遺言の意味を理解できる能力)」がなかったことを証明する必要があります。主な証拠は医療記録・介護記録・認知症診断書・主治医の意見書・施設スタッフの証言などです。記録が残っている施設・病院は早めに確認しておくことが重要です。
遺言書で指定された遺言執行者は、家庭裁判所への申立てにより辞任することができます(正当な理由が必要)。また、遺言執行者が就任前の段階であれば辞退も可能です。辞任後は家庭裁判所が新しい遺言執行者を選任します。手続きが複雑な場合は弁護士に執行を依頼することをお勧めします。
原則として、日付が最も新しい遺言書が有効です(後の遺言書が前の遺言書を撤回・変更します)。ただし、内容が一部重複・矛盾する場合は、矛盾する部分だけ新しい遺言書が優先されます。複数の遺言書が見つかった場合は、すべてを弁護士に見せて整理してもらうことをお勧めします。
遺言書にまつわるトラブルの多くは、遺言書の形式・内容・作成時の状況に問題があることから発生します。「正しく作られた遺言書」があれば、こうしたトラブルの大部分を未然に防ぐことができます。
大分みんなの法律事務所では、公正証書遺言の作成サポートも承っています。公証役場との連携・証人の手配・遺言内容の法的検討まで、弁護士が一貫してサポートします。
遺言書に関する問題は、「検認が必要」「無効を主張したい」「執行を進めたい」など、状況によって対応方法が大きく異なります。まず現在の状況を弁護士に整理してもらうことが最初の一歩です。
初回相談は無料です。遺言書(コピーでも可)をお持ちいただければ、その場で問題点・対応方針をご説明します。