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遺留分侵害額請求の時効:相続開始・遺留分侵害を知った日から1年

1年を過ぎると請求権が消滅します。「遺言書を見てからどのくらい経つか」を今すぐ確認してください。

遺留分侵害額請求の方法と計算例|
いくら請求できるか弁護士が解説

「遺言書を開けたら、自分の取り分がほぼなかった」「全財産を長男に相続させるという遺言書があるが、自分には何も残らないのか」——こうした場合でも、法律上の相続人には「遺留分」という最低限の取り分が保障されています。遺留分を侵害された相続人は「遺留分侵害額請求」という権利行使によって、金銭の支払いを求めることができます。

このページでは、遺留分の計算方法を具体的な数値例でステップごとに解説します。「自分はいくら請求できるのか」を確認してください。

トラブル解決 2026年1月15日 公開 読了目安 約10分

遺留分は誰でも持っているわけではない——対象となる相続人と割合

遺留分とは、一定の相続人に法律上保障された「最低限の遺産取得割合」です。被相続人(亡くなった方)は遺言書で財産を自由に処分できますが、一定の相続人の遺留分を完全に奪うことはできません。

遺留分が認められる相続人と割合

相続人の構成遺産全体に対する遺留分各相続人の遺留分(例)
配偶者のみ遺産の1/2配偶者:1/2
子のみ遺産の1/2子1人:1/2/子2人:各1/4
配偶者+子遺産の1/2配偶者:1/4/子1人:1/4
配偶者+直系尊属遺産の1/2配偶者:1/3/直系尊属:1/6
直系尊属のみ遺産の1/3父母各1/6 など
兄弟姉妹なし(遺留分なし)兄弟姉妹には遺留分が認められない
⚠️ 兄弟姉妹(および甥・姪)には遺留分が認められません。被相続人の兄弟姉妹が遺言で取り分ゼロにされても、遺留分侵害額請求はできません。

遺留分侵害額の計算は「4つのステップ」で完結します

遺留分侵害額の計算式

① 遺留分算定の基礎財産を計算する

② 遺留分額を計算する(基礎財産 × 遺留分割合)

③ 実際に取得した財産額を計算する

④ 遺留分侵害額 = ②遺留分額 − ③取得財産額(− 受遺者・受贈者の負担する債務額)
④ がプラスの場合 → 侵害額として請求できる金額

STEP 1:遺留分算定の基礎財産を計算する

「遺留分算定の基礎財産」は、単純な相続財産の合計ではなく、以下の式で計算します。

遺留分算定の基礎財産 = 相続開始時の積極財産(プラス財産)+ 生前贈与財産 − 相続債務(借金等)
  • プラス財産:不動産・預貯金・株式・生命保険金(相続財産に含まれるもの)など
  • 生前贈与財産:相続人への贈与(10年以内)、第三者への贈与(1年以内)
  • マイナス財産:借入金・未払い税金・葬儀費用など

生前贈与の算入期間(2019年改正後の重要ポイント)

贈与の相手算入期間(2019年7月1日以降の相続に適用)
相続人への贈与(特別受益)相続開始前10年以内の贈与が基礎財産に算入(2019年改正で従来の無制限から変更)
第三者への贈与相続開始前1年以内の贈与が算入
当事者双方が遺留分権利者を害することを知っていた贈与時期に関わらず全て算入
「親が亡くなる前10年間に多額の生前贈与があった」というケースでは、その贈与が遺留分の計算に含まれる可能性があります。諦めずに弁護士に確認を。

実際の数字で計算してみましょう——3つの典型ケース

【ケース①】配偶者+子2人 遺産3,000万円、全財産を長男に

前提:父が死亡。遺産:自宅不動産2,000万円+預貯金1,000万円=計3,000万円。遺言:「全財産を長男に」。相続人:配偶者(母)・長男・次男。生前贈与・借金なし。

  • STEP 1:基礎財産 = 3,000万円(プラス財産)+ 0円(贈与)− 0円(借金)= 3,000万円
  • STEP 2:配偶者の遺留分:3,000万円 × 1/4(法定相続分1/2 × 遺留分率1/2)= 750万円/次男の遺留分:3,000万円 × 1/8(法定相続分1/4 × 遺留分率1/2)= 375万円
  • STEP 3:配偶者:0円/次男:0円(遺言で全財産が長男に)
  • STEP 4:配偶者:750万円 − 0円 = 750万円/次男:375万円 − 0円 = 375万円
    合計:1,125万円が長男に請求される金額(配偶者+次男の合計)

【ケース②】生前贈与があるケース 遺産2,000万円+贈与1,000万円

前提:父が死亡。相続開始時の遺産:預貯金2,000万円。長男は生前に父から1,000万円の贈与を受けていた(相続開始5年前)。遺言:「全財産を長男に」。相続人:長男・次男(配偶者は既死亡)。

  • STEP 1:基礎財産 = 2,000万円(遺産)+ 1,000万円(長男への生前贈与・10年以内)= 3,000万円
  • STEP 2:次男の法定相続分:1/2/次男の遺留分額:3,000万円 × 1/2 × 1/2(遺留分率)= 750万円
  • STEP 3:次男が実際に取得した財産:0円
  • STEP 4:次男の侵害額:750万円 − 0円 = 750万円
    ※生前贈与1,000万円が基礎財産に加算されたことで、遺産2,000万円だけで計算した場合(500万円)より250万円多く請求できる
生前贈与がある場合の計算は複雑です。特に「10年以内かどうか」「贈与か一時的な贈与か」などの判断が必要です。必ず弁護士に確認してください。

【ケース③】不動産のみ・代償金が払えない場合

前提:父が死亡。遺産:自宅不動産のみ(評価額4,000万円)。借金なし。遺言:「全財産を長男に」。相続人:長男・次男(配偶者は既死亡)。

  • 基礎財産:4,000万円
  • 次男の遺留分額:4,000万円 × 1/2 × 1/2 = 1,000万円
  • 次男の遺留分侵害額:1,000万円(長男に支払いを請求できる)

問題点と対処法:不動産しか遺産がない場合、長男には「1,000万円の現金」がない可能性があります。2019年の民法改正後、遺留分侵害額請求は「金銭」での支払いが原則です。長男が支払えない場合の対処法:

  • 分割払いの合意(協議で分割払いスケジュールを決める)
  • 代物弁済(不動産の一部持分を渡す合意)※双方の合意が必要
  • 長男が不動産を売却して資金を調達する
  • 長男が金融機関から借入れて支払う
  • 裁判所に延払い許可の申立て(民法1047条5項)

内容証明郵便から訴訟まで——請求の進め方

STEP手続き内容期間目安
STEP 1弁護士相談遺産の調査・遺留分の計算・時効の確認を行います。請求の可否・金額の概算をお伝えします。即日〜
STEP 2内容証明の送付弁護士名義で「遺留分侵害額請求書」を内容証明郵便で送付。これにより時効の進行を6ヶ月間停止できます(催告)。数日〜1週間
STEP 3示談交渉相手方と支払い金額・方法・期限について交渉。合意に至れば「合意書」を締結して解決します。1〜4ヶ月
STEP 4遺留分侵害額請求調停交渉不成立の場合、家庭裁判所へ調停申立て。調停委員が間に入り話し合いを進めます。半年〜1年
STEP 5訴訟調停不成立の場合は民事訴訟へ。裁判官が計算・証拠を検討して侵害額を確定します。1〜2年
⚠️ 時効(1年)が迫っている場合は、STEP2の内容証明送付を最優先します。内容証明の送付で時効の進行を6ヶ月止められます(催告)。その後6ヶ月以内に調停・訴訟を提起することで時効を確定的に中断できます。

「1年を過ぎてしまったかもしれない」——まず時効の起算点を確認する

時効の種類内容
短期消滅時効(1年)「相続の開始」と「遺留分を侵害する贈与・遺贈があったことを知った日」の両方を知った日から1年。どちらか遅い方が起算点。
長期消滅時効(10年)相続開始から10年。「遺言の内容を知らなかった」場合も、相続開始から10年で権利が消滅する除斥期間。

「遺言書の内容を知ってから1年が過ぎたかもしれない」と感じている方へ——起算点の解釈次第では、まだ時効が到来していない可能性があります。以下のケースでは起算点がずれる場合があります。

  • 遺言書を発見したが内容を詳しく確認していなかった場合
  • 遺言書に問題があり、その有効性を確認中だった場合
  • 遺産の全容(特に生前贈与の存在)を後から知った場合
「時効かもしれない」と思っていても、諦める前に弁護士に相談してください。起算点の解釈・時効の更新(中断)の可否を法的に確認します。

遺留分侵害額請求の計算・手順に関するよくある質問

遺留分の計算で使う「遺産の評価額」はどうやって決めますか?

不動産は原則として相続開始時(死亡時)の「時価(市場価格)」で評価します。相続税評価額(路線価・固定資産税評価額)ではなく、実際の市場価格が基準です。不動産の時価評価に争いがある場合は、不動産鑑定士への鑑定を依頼することがあります。預貯金は残高、株式は相続開始時の時価です。

相手(遺留分を侵害した側)が「贈与ではなく貸付だ」と言っています。どうすれば良いですか?

相手が「贈与ではなく貸付」と主張する場合、その証明責任は相手方にあります。貸付であれば借用書・返済記録が存在するはずです。弁護士が証拠の収集・検討を行い、「贈与の成立」を主張します。

遺言書を無効にする方法と遺留分請求、どちらが有利ですか?

ケースによって異なります。遺言書の無効が認められれば法定相続分(遺留分より多い場合が多い)を主張できますが、立証が難しく時間がかかります。遺留分請求は遺言書が有効でも確実に行使できますが、取得できる金額は遺留分額に限定されます。弁護士が両方の選択肢を検討してご提案します。

遺留分を放棄することはできますか?

はい。相続開始後(被相続人の死亡後)はいつでも遺留分を放棄できます。相続開始前(生前)に放棄する場合は、家庭裁判所の許可が必要です(民法1049条)。生前の遺留分放棄は、被相続人から贈与を受けた代わりに放棄するというケースなどで活用されます。

遺留分請求をすると相手(兄弟)との関係が悪化しませんか?

ご不安はよく分かります。弁護士が代理人として交渉することで、直接的な対立を避けながら解決できる場合があります。また最初から訴訟になるケースは少なく、多くは示談・調停で解決しています。「正当な権利として請求する」という姿勢を持つことも大切です。

遺留分侵害額請求と遺産分割協議は同時にできますか?

法的には別の手続きですが、弁護士が代理人として両方を並行して進めることができます。遺産分割協議の中で遺留分侵害額を考慮した解決を図ることで、全体的な解決を効率よく目指します。

「いくら請求できるか確認したい」
——まず弁護士に計算してもらいましょう。

遺留分侵害額の計算は、生前贈与の有無・不動産の評価・相続債務の扱いなど、専門的な判断が必要です。「いくら請求できるか」の正確な試算は、弁護士が遺産の内容を確認した上で行います。

大分みんなの法律事務所では、初回相談(無料)で遺留分の試算・時効の確認・請求可能かどうかの判断をお伝えします。「時効が近い」という方は今すぐご連絡ください。

✅ 初回相談無料・遺留分の試算を相談当日に実施・時効が近い案件は内容証明送付を最優先対応・請求する側・される側どちらも対応可能。
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